Intel 4004
ビジコンは1966年(昭和41年)に30万円を切る電卓を投入して業界に衝撃を与えた中堅の電卓メーカーである。ビジコンは、多品種展開のためにストアドプログラム方式に基づく電卓を開発しようとしていた。その際に、LSIの開発を委託したのがまだ創業間もないインテルだった。
そこでインテルのテッド・ホフは、マイクロ命令を採用した汎用的に使える4ビット・マイクロプロセッサを提案した。これが 4004 である。
当時のICとして標準的な16ピンDIPのパッケージに収納するため、12ビットのアドレス、8ビットの命令、4ビットのデータを時分割で使用している。このため、命令アドレス出力に3クロック、命令読み出しに2クロック、命令実行に3クロックの計8クロックを要する。
周辺チップとして、容量2048bitのマスクROM 4001、容量320bitのRAM 4002、10bitシフトレジスタ兼10bit出力ポートの4003があり、これらをセットで MCS-4(Micro Computer Set)と呼んだ。

ただ、4004 の開発は一筋縄ではいかなかった。
1969年(昭和44年)12月、テッド・ホフと嶋正利らは基本アーキテクチャを完成した。この時点で嶋らをビジコンの技術者は一度日本に戻った。1970年(昭和45年)4月に再渡米したとき、4004 の回路設計はまったく進んでいなかった。回路技術者としてフェデリコ・ファジンを採用したばかりで、ホフからファジンへの引き継ぎもなかったという。そこで嶋は論理設計を担当し、ファジンと協力して4004を開発した。
このときの働きが評価された嶋は、のちに「Intel 8080」の開発を手がけることになる。
そこでインテルのテッド・ホフは、マイクロ命令を採用した汎用的に使える4ビット・マイクロプロセッサを提案した。これが 4004 である。
当時のICとして標準的な16ピンDIPのパッケージに収納するため、12ビットのアドレス、8ビットの命令、4ビットのデータを時分割で使用している。このため、命令アドレス出力に3クロック、命令読み出しに2クロック、命令実行に3クロックの計8クロックを要する。
周辺チップとして、容量2048bitのマスクROM 4001、容量320bitのRAM 4002、10bitシフトレジスタ兼10bit出力ポートの4003があり、これらをセットで MCS-4(Micro Computer Set)と呼んだ。
ただ、4004 の開発は一筋縄ではいかなかった。
1969年(昭和44年)12月、テッド・ホフと嶋正利らは基本アーキテクチャを完成した。この時点で嶋らをビジコンの技術者は一度日本に戻った。1970年(昭和45年)4月に再渡米したとき、4004 の回路設計はまったく進んでいなかった。回路技術者としてフェデリコ・ファジンを採用したばかりで、ホフからファジンへの引き継ぎもなかったという。そこで嶋は論理設計を担当し、ファジンと協力して4004を開発した。
このときの働きが評価された嶋は、のちに「Intel 8080」の開発を手がけることになる。
世界初のマイクロプロセッサ「MP944」
MP944 PMU
MP944 は、1個の並列乗算ユニット(PMU)、1個の並列除算ユニット(PDU)、3個のランダムアクセスストレージ(RAS)、9個のリードオンリーメモリー(ROM)、1個の専用論理機能(SLF)と3個のステアリングロジックユニット(SLU)から成るマイクロプロセッサシステムで、毎秒9,375回の命令を実行する能力をもっており、4004 の約8倍の処理速度を誇った。システム全体のトランジスタ数は74,442個に達する。

CADC は、静圧センサー、動圧センサー、航空機温度プローブ、アナログおよびデジタルのパイロット入力という5つのソースからデータを受け取り、マッハ数、高度、対気速度などをリアルタイムで計算し、F-14の飛行性能の鍵となる可変翼システム、機動フラップ、グローブベーンなどの動翼を精密に制御した。
軍用機としての厳しい要件を満たすため、MP944 は-55℃~125℃までの広範な温度範囲で動作する耐久性を備えており、システムは飛行中も常時自己診断を実行し、もし障害が検知された場合は、18分の1秒以内に標準装備された同等のバックアップユニットへと切り替わる冗長システムを搭載しており、パイロットの安全を守った。

MP944 のワード長は20ビットだが、これはインテルが1978年(昭和53年)に発表した 8086 の 16ビットより長い。
この時代、20ビットのワード長を持つのは、英General Electric Companyのミニコン「GEC 2050」や、英Ferrantiの汎用機「Ferranti Orion」など、欧州のコンピュータだけで、科学計算精度を重視しているIBMの汎用機は36ビットだった。
MP944 は、F-14の制御に必要な精度と小型化と耐久性という要求から、20ビットに落ち着いたものと思われる。
飛行中のリアルタイム演算が欠かせないことから、並列演算処理ができたことは画期的であった。インテルが並列演算処理(パイプライン処理)を備えたのは、1985年(昭和60年)に発表された 80386 からである。

軍用コンピュータであることから1998年(平成10年)まで機密扱いとされてしまい、残念ながら、それまでは「世界初のマイクロプロセッサ」として認知されなかった。
CADC は、静圧センサー、動圧センサー、航空機温度プローブ、アナログおよびデジタルのパイロット入力という5つのソースからデータを受け取り、マッハ数、高度、対気速度などをリアルタイムで計算し、F-14の飛行性能の鍵となる可変翼システム、機動フラップ、グローブベーンなどの動翼を精密に制御した。
軍用機としての厳しい要件を満たすため、MP944 は-55℃~125℃までの広範な温度範囲で動作する耐久性を備えており、システムは飛行中も常時自己診断を実行し、もし障害が検知された場合は、18分の1秒以内に標準装備された同等のバックアップユニットへと切り替わる冗長システムを搭載しており、パイロットの安全を守った。
MP944 のワード長は20ビットだが、これはインテルが1978年(昭和53年)に発表した 8086 の 16ビットより長い。
この時代、20ビットのワード長を持つのは、英General Electric Companyのミニコン「GEC 2050」や、英Ferrantiの汎用機「Ferranti Orion」など、欧州のコンピュータだけで、科学計算精度を重視しているIBMの汎用機は36ビットだった。
MP944 は、F-14の制御に必要な精度と小型化と耐久性という要求から、20ビットに落ち着いたものと思われる。
飛行中のリアルタイム演算が欠かせないことから、並列演算処理ができたことは画期的であった。インテルが並列演算処理(パイプライン処理)を備えたのは、1985年(昭和60年)に発表された 80386 からである。
軍用コンピュータであることから1998年(平成10年)まで機密扱いとされてしまい、残念ながら、それまでは「世界初のマイクロプロセッサ」として認知されなかった。
CPUの歴史
| 発表年 | メーカー | CPU名 | ビット数 | 最大クロック |
|---|---|---|---|---|
| 1970年 | Garrett AiResearch | MP944 (軍用) | 20bit | 375KHz |
| 1971年 | インテル | 4004 | 4bit | 750KHz |
| 1974年 | インテル | 8080 | 8bit | 3.125MHz |
| 1975年 | モステクノロジー | MOS 6502 | 8bit | 3MHz |
| 1976年 | ザイログ | Z80 | 8bit | 20MHz |
| 1978年 | インテル | 8086 | 16bit | 10MHz |
| 1979年 | モトローラ | MC6809 | 8bit | 2MHz |
| 1979年 | ザイログ | Z8000 | 16bit | 10MHz |
| 1980年 | モトローラ | MC68000 | 16bit | 20MHz |
| 1983年 | NEC | V30 | 16bit | 16MHz |
| 1984年 | インテル | 80286 | 16bit | 12MHz |
| 1985年 | インテル | 80386 | 32bit | 40MHz |
| 1985年 | インテル | i960 | 32bit | 100MHz |
| 1985年 | サン・マイクロシステムズ | SPARC | 32bit | 150MHz |
| 1986年 | MIPS | R2000 | 32bit | 15MHz |
| 1987年 | ザイログ | Z280 | 16bit | 12MHz |
| 1987年 | モトローラ | MC68030 | 32bit | 50MHz |
| 1989年 | インテル | 80486 | 32bit | 100MHz |
| 1989年 | インテル | i860 | 32bit | 50MHz |
| 1991年 | MIPS | R4000 | 64bit | 200MHz |
| 1990年 | モトローラ | MC68040 | 32bit | 40MHz |
| 1993年 | インテル | Pentium | 32bit | 300MHz |
| 1994年 | IBM, モトローラ | PowerPC 603 | 32bit | 300MHz |
| 1995年 | サイリックス | Cyrix Cx5x86 | 32bit | 133MHz |
| 1995年 | AMD | Am5x86 | 32bit | 160MHz |
| 1995年 | サン・マイクロシステムズ | UltraSPARC | 64bit | 200MHz |
| 1999年 | IBM, モトローラ | PowerPC G4 | 32bit | 1.67GHz |
| 1999年 | AMD | Athlon | 32bit | 2.33GHz |
| 2000年 | インテル | Pentium 4 | 32bit | 3.8GHz |
| 2001年 | インテル | Itanium | 64bit | 800MHz |
| 2003年 | AMD | Opteron | 64bit | 3.5GHz |
| 2003年 | インテル | Pentium M | 32bit | 2.26GHz |
| 2006年 | SCE,ソニー,IBM,東芝 | Cell | 64bit | 3.2GHz |
| 2006年 | インテル | Core Duo | 32bit | 2.33GHz |
| 2006年 | インテル | Core 2 Duo | 64bit | 3.33GHz |
| 2008年 | インテル | Core i9/i7/i5/i3 | 64bit | 5.8GHz |
| 2017年 | AMD | Ryzen | 64bit | 5.7GHz |
| 2020年 | Apple | M1/M2/M3/M4 | 64bit | 3.49GHz |
| 2023年 | インテル | Core Ultra 9 / 7 / 5 | 64bit | 5.1GHz |
参考書籍
|
|
CPUの働きと高速化のしくみ | ||
| 著者 | 山田宏尚 | ||
| 出版社 | ナツメ社 | ||
| サイズ | 単行本 | ||
| 発売日 | 2004年04月 | ||
| 価格 | 1,540円(税込) | ||
| ISBN | 9784816336959 | ||
| CPU(Central Processing Unit「中央処理装置」と訳される)は、パソコンだけでなく、エアコンや炊飯器など、驚くほど身近な機器に搭載されています。そのような機器になぜ、CPUが必要なのか。それは、CPUに仕事(処理)をする能力があるからだ。ただの石のように見えるCPUにどうして仕事ができるのか。本書ではその原理を解説している。はじめは簡単なことしかできなかったCPUが、いろいろなことができるようになった。その発展の歴史も掲載。そして、CPUがより高速に処理を行えるように考えられた、驚くべき技術についてもしっかり解説。 | |||
この時代の世界
(この項おわり)


クロック周波数は500~741kHzで、pMOSプロセスの3mm×4mmのチップ(ダイ)の上に2,237個のトランジスタを集積。10μmのプロセス・ルールで製造された。